愛するあなたへ〜blue roseを私にください
夜9時に翔さんの玄関に着いた。
いつも早く会いたくてウキウキしていたのに、今日は緊張で、何回も深呼吸をした。

インターホンを鳴らすと
「鍵開けて入って来て」
翔さんは帰って来ていて、私は合い鍵で家に入った。

「あれっ?」
部屋の電気はまだ消えていて、翔さんの寝室だけ薄暗く光が漏れていた。
帰ってきたばかりだったのかな・・・
翔さんが出てくる様子が無かったから、声を掛けてみた。

「翔さん、入っていいですか?」
「電気つけないで、こっちに来てくれる?」
翔さんの言う通りに、少し開いている寝室のドアを開けた。

寝室には、アンティークのキャンドルライトが置かれていて妖艶な光の中にスーツ姿の翔さんが立っていた。
「翔さん・・・」
「春花、傍まで来て」
私はゆっくりと翔さんの前まで足を進めた。

「春花、俺の気持ち、受け取って欲しいんだ」
翔さんは背中に回した手を前に出した。
「これは・・・」
私は泣き崩れそうになるのを耐えて、翔さんを見つめた。
翔さんの手にあるのは、「blue rose」だった。
「9本なんだ、春花なら、意味わかるよね?」
「・・・はい・・・いつも傍にいてください」
「春花、僕の気持ちだよ」
翔さんから受け取った「blue rose」
不可能ではなく、夢叶う・・・
「前にも言っただろ、俺の傍から離れることは絶対に許さないって」
翔さんは私を抱きしめた。
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