この恋は、『悪』くない。

〔いつにする?〕



「沙和、まだアイツと連絡取ってんの?」



「え…」



「ごめん、たまたま見えた
[カズ]って、カズだろ」



「あ…うん…
樽崎くん入院してる時から
飲みに行こうって誘われてて
忙しくて行けないって返事してるんだけど…」



「アイツは、ダメだから…」



「え?」



「カズは、ダメだから…
オレが言えることじゃないけど
アイツ、女にだらしないから
しつこかったらオレから言おうか?」



樽崎くんだって

酔うと女の子と寝ちゃうクセに



でも

そー言えば最近は

そんなことないな…



骨折してるから

無理か



回復したら

また飲みに行っちゃうんだろうな



「大丈夫だよ
ちゃんと断わるから…

私の住んでるアパートがね
来年取り壊すことになっちゃって
次に住むアパート探さなきゃなの
それで、カズさん?の先輩が…」



「へー…
オレには、その話してくれなかったのに
カズには相談したんだ」



「相談ていうか…」



会うの断わる口実だった



「まぁ、いいけど…

沙和がオレのこと心配してくれたみたいに
オレも沙和のこと心配だっただけ…」



心配?

私のこと?



「うん…
樽崎くんが思ってるようなことはないから
大丈夫だよ」



「オレが思ってることって?
沙和が大丈夫って思ってても
カズのことだから安心できない」



樽崎くんは

何が心配なのかな?



私に何かあっても

樽崎くんには関係ないのに



「ありがと、心配してくれて…
そろそろ帰るね

明日はちょっと遅くなるかも…
冷蔵庫から残り物出して
先に食べててもいいからね」



「明日、無理に来なくてもいいよ
沙和も毎日大変だろ
自分でコンビニ行けるし…」



樽崎くん

機嫌悪い?



「んー…じゃあ、明日は来ないね」



「うん、気をつけて帰れよ」



「ん、ありがと…」



「沙和…」



「ん?」



「明後日は、来る?」



「ん…来るよ」



「うん、じゃあ、待ってる」



樽崎くんが

わからない時がある



なんで

私のこと心配してくれるの?

何が心配なの?



機嫌悪いのかな?って思ったら

優しい言葉をくれて



辛くて

少し離れようとすると

待っててくれる



私はね

樽崎くんの近くにいたいって

思ってるよ



樽崎くんのケガが回復したら

また少しずつ

距離ができるのかもね



今が1番

樽崎くんの近くにいれる



< 147 / 276 >

この作品をシェア

pagetop