この恋は、『悪』くない。

今日1日仕事が手につかなかった



帰ったら

いつも通り

いつもと変わらなく

いつもみたいに



「た、た、た、だいま…かえりました」



って

いないし…



バイクあったのに

シャワーかな?



ニャー…



「あ!アメ!」



アメの鳴き声にさえ動揺する



「アメ、な、樽崎くんは?
帰って、来てるよね?」



「沙和、おかえり」



後ろから樽崎くんの声がして

慌てて振り返ったら



ドン…



壁にあたった



たぶん

壁じゃなくて

樽崎くん



顔が見れない



「お、おかえり…」



樽崎くんの胸に言った



「フ…
おかえりじゃなくて、ただいまだろ!」



お風呂上がりの樽崎くんの匂いに

ドキドキする



今までどおりでなんて

いられないよ



このまま抱きしめられたり

するの…?



付き合うって

彼女って



って

いないし…



顔を上げたら

もぉ壁はなかった



冷蔵庫の前でコーラ飲んでる



「な、樽崎くん、夕飯食べた?」



声が上ずる



「やー、これからー…
沙和疲れただろ
オレ、餃子買ってきたんだ
作んなくていいよ
一緒に食べよ」



え、今までどおりすぎない?

拍子抜けする



「ん?沙和、腹減ってない?」



ホントに私たち

付き合ったよね?



「私は…」



朝から何も食べてない


でも

今も食欲ない



「昨日の残りのシチュー食べようかな…
樽崎くんも食べる?」



「うん、オレ温めるよ
沙和、シャワーしてくる?」



「う、うん
じゃあ、お願い
シャワー、してくるね」



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