この恋は、『悪』くない。

「沙和、車酔いしてない?」



「うん、大丈夫だよ
夕飯、何にしよう?」



「買い物してく?
沙和が食べたいのでいいよ
オレ、カレー作ろうか?」



「うん、樽崎くんのカレー食べたいな」



「任して!
辛いの刺激強すぎだから今日は甘口」



「樽崎くんが甘口好きだからでしょ
ハハハ…」



こんな

なんてことない会話をして

毎日が幸せになる



山咲だった頃の私は

想像してなかったな



「樽崎くん
ずっと聞きたいことがあった」



「なに?」



「こんな私の
どこを好きになってくれたの?」



「オレと違う世界にいたから…


憧れだった

山咲沙和


真面目で優しくて、心が綺麗

いつも自分の気持ち隠してて
けど隠しきれてなくて
かわいかった

いつも本を読んでる沙和の横顔
好きだった

オレが落ち込んでた時
スゲー力強いピアノの音が聞こえてきて
音楽室覗いたら、沙和だった
カラダちっちゃいのに
あんな音出せるんだ…って


そのギャップに惚れました
山咲沙和さん」



そう言った

樽崎くんの横顔が

中学生の樽崎くんに重なった



違う世界にいた



私もそぉ思ってた



だから

こわかった



同じ世界にいていいって

思えなかった



でも

優しくしてくれる樽崎くんを

好きになりそうだった



きっと

好きになってた

山咲だった頃の私



「今は、同じ世界にいる?」



「うん…
もともと世界なんて
ひとつしかねーよ

沙和もオレも人間じゃん

残念ながら
アメとの恋は成就しなかった
フ…アメ、来世は同じ世界で会おうな…」



ニャー…



< 273 / 276 >

この作品をシェア

pagetop