この恋は、『悪』くない。

「沙和、車酔いしてない?」



「うん、大丈夫だよ
夕飯、何にしよう?」



「買い物してく?
沙和が食べたいのでいいよ
オレ、カレー作ろうか?」



「うん、樽崎くんのカレー食べたいな」



「任して!
辛いの刺激強すぎだから今日は甘口」



「樽崎くんが甘口好きだからでしょ
ハハハ…」



こんな

なんてことない会話をして

毎日が幸せになる



山咲だった頃の私は

想像してなかったな



「樽崎くん
ずっと聞きたいことがあった」



「なに?」



「こんな私の
どこを好きになってくれたの?」



「オレと違う世界にいたから…
…
…
憧れだった
…
山咲沙和
…
…
真面目で優しくて、心が綺麗
…
いつも自分の気持ち隠してて
けど隠しきれてなくて
かわいかった
…
いつも本を読んでる沙和の横顔
好きだった
…
オレが落ち込んでた時
スゲー力強いピアノの音が聞こえてきて
音楽室覗いたら、沙和だった
カラダちっちゃいのに
あんな音出せるんだ…って
…
…
そのギャップに惚れました
山咲沙和さん」



そう言った

樽崎くんの横顔が

中学生の樽崎くんに重なった



違う世界にいた



私もそぉ思ってた



だから

こわかった



同じ世界にいていいって

思えなかった



でも

優しくしてくれる樽崎くんを

好きになりそうだった



きっと

好きになってた

山咲だった頃の私



「今は、同じ世界にいる?」



「うん…
もともと世界なんて
ひとつしかねーよ
…
沙和もオレも人間じゃん
…
残念ながら
アメとの恋は成就しなかった
フ…アメ、来世は同じ世界で会おうな…」



ニャー…



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