【完結】不倫夫との離婚計画〜3ヶ月後に離婚します〜
と優しく聞くのも、夫との離婚を円満に済ませるためだ。
「ああ。確か、引き出しに入ってたよな」
「いいよ、わたしが取るから。千洋は座ってて」
そう言って夫の肩をトントンと叩く。
「ああ、ありがとう陽花」
「ううん。お水持ってくるね、ちょっと待ってて」
わたしは妻だから、夫には尽くすのが仕事だ。だからせめて離婚までは、夫に尽くすと決めた。
離婚を考えていることを、夫に悟られないためにも……。
「はい。お水」
「ありがとう、陽花」
「それ飲んだら、今日はゆっくり休んで」
わたしは夫にそう伝えると「夕飯、冷蔵庫入れとくね。好きな時に温めて食べてね」と言った。
「……ああ、ありがとう陽花」
こんなに弱っている夫を献身的に支える妻が、離婚を考えているだなんて、きっと夫は気付いてもないだろう。
夫が浮気していることも、わたしは気付いてないフリをしているのだから。
「悪いな。……今日は休ませてもらうよ」
「うん。無理しないでね」
「ありがとう陽花」
夫は辛そうな顔をして、寝室のドアをゆっくりと締めた。