あの日溺れた海は、
「私のことより、皆は好きな人とかいないの?」
おっおりとした笑顔を向けながらそう言う彩の言葉にドキリと胸絵を高鳴らせた。
好きな人。その顔を思い浮かべるだけで顔が熱くなる。
「好きな人かあ。最近同じクラスの野口くんが気になるかなあ。修学旅行で同じ班だったんだけど〜」
そうあっけらかんと打ち明ける喬香にそれぞれに黄色い声を上げた。
「月はいないの?」
喬香は一通り話すと、隣にいた月に話を振った。
「あたし?あたしはいないかなあ〜玲はいないの?普段あんまりそういうの話してくれないけど。」
「あたしは……いない。」
「なによ、その間!」
「いないものはいない。…それより華は?」
「え!?」
玲に急に話を振られた私の声が部室内に響いた。みんなの視線が一斉にこちらに向けられる。