エリート弁護士との艶めく一夜に愛の結晶を宿しました
「ついてないよ。カッコいいなって見てたの。私の……旦那様があまりにも素敵だから」

 ぎこちなくも素直に答える。稀一くんは目を見張ってこちらを見た後、軽く私の頭に触れた。

 勇気を出して稀一くんを夫と意識してとして接したのに、彼は相変わらず私を子ども扱いだ。

 ところがムッとしたのも束の間、優しげにこちらを見つめる眼差しになにも言えなくなる。

 信号が青になり彼は前に向き直ったタイミングで私はそっと目を動かした。

 ハンドルを持つ大きくて骨ばった手、しなやかな長い指。顔も頭もよくて、仕事もできるうえ優しい。

 きっと生まれてくる子どもにとって稀一くんは自慢のお父さんになるんだろうな。 まだ膨らみがまったくない腹部に触れ、強く思う。

 私も精いっぱい妻として、お母さんをとして頑張るね。会えるのを楽しみにしているから。

 できれば子どもは私より稀一くんに似ていたらいいな。そんなことを考えているうちにショッピングモールにたどり着いた。

 気持ち悪さを一瞬忘れるほど、久々の外出に心が躍る。でも今日はあまり時間をかけずに、買わなければならない物を優先させないと。体調も不安定だ。

 駐車場から本館へ移動するエレベーター横の館内案内に目を走らせていたら突然、左手がとられ、その瞬間、私の体感温度が上昇する。
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