ボトルメール
それからは世間話など、高校生活であった出来事についての話をした。気づいたら太陽は海の中に消えてそうだった。
「ねねね、彰とくるみちゃんって今何してるの?」
「今?彰は多分家にいると思うよ。くるみはわかんないや」
「名前で呼ぶようになったんだね」
「え?あー、くるみのこと?そうなんだよ。あれから中学の頃より仲良なってね、名前で呼ぶようになったんだ。それで、二人がどうしたの?」
「いや、暇ならここに連れて来ようと思って。」
「そうだな。一緒に夕日でも見ようか」
早速俺はスマホをポケットから取りだし、彰に電話をかけた。
『もしもし、俊か』
「うん。今暇ならいつもの海に来てくれないか?」
何かあると俺たちはこの海に来ていた。だから「いつもの海』で伝わると思った。
『あー、ごめん。ちょっと用事ある』
受話器の向こう側で何やら聞き覚えのある声が聞こえた。
「彰…もしかして芽吹さんのところにいる?」
俺は恐る恐る彰に事実確認を取った。もし彰が芽吹さんのところにいるのだとしたら目的は自分の病気に関することしかない。
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