ボトルメール
「俊は偉いねー。私なんて二年の頃、彰の看病のせいで学校休んじゃったもん」
楓は優しいのだ。もちろん弟の彰にだけではなく俺にも。
「へー楓は相変わらず優しいな」
そんな会話をしていると担任の武田先生が教室に入ってきた。そんなに慌てて席につかなくても良かったらしい。
「特に連絡することは無いが…えーっと……受験生だから受験勉強してると思うがあんまり頑張りすぎてもダメだからなー」
受験勉強か……今のところ近くにある普通の高校に通うつもりだ。偏差値も自分の学力にあってるし、そんなに頑張らなくてもいいし、家から近いし。というくだらない理由だ。
朝のホームルームが終わり、先生は教室から出ると楓が担任がホームルームで言ってた話題を俺に振ってきた。
「俊は高校どこ受けるんだっけ?」
「普通にすぐ近くにある高校かな…」
自慢できるような場所では無いので控えめにそう言った。俺の頭の出来など幼馴染である楓と彰には知られてると思うけど。
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