相思相愛マリアージュ(後)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
「怖くなった?」

「え、あ…」

私達は車で自宅マンションに戻った。
車中、ハンドルを握る奏弥さんが助手席の私に問いかけた。

「・・・チャンスは一回だからな…」

「奏弥さん…相手が私でなきゃ…貴方が苦労するコトにないのに」


「…俺は何も知らずに遥と結婚したんじゃない…知ってて結婚した…俺は君さえ居れば、それでいいと言ってるのに…君が赤ちゃんを欲した。
これですべてが終わる…」

「奏弥さん…」

「…例え、赤ちゃんを授からなかったとして、離婚したとしても…俺達は共に東亜で働く医者だ…そうだよな・・・遥」

「えぇ~」

「…俺達は夫婦でなくなっても、繋がりはあるワケだ・・・」

あんなに離婚を拒んでいた奏弥さんが私の離婚の申し出を受け入れていた。

これが私の選んだ道。

彼に対する想いが強すぎるが故に色々と考えてしまう。

人を愛するって難しい。

別居と言う話もあったが、体外受精を進めるその時まで同居した。
その間にも、知り合いのベビーラッシュは続く。

奏弥さんの同意を得てからは私の心のモヤモヤもなくなり、一度のチャンスの為に自分のカラダ作りに余念がなかった。

< 119 / 212 >

この作品をシェア

pagetop