相思相愛マリアージュ(後)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
でも、この方法が試せるのは三十五歳以上。
私の三十五歳の誕生日を待って、二段階胚移植の体外受精に踏み切った。

私は移植の為、単独で『槇村レディースクリニック東京』に足を運んだ。

まずは三日前に採精した奏弥さんの精子と私の解凍した卵子を受精させた初期胚を移植が行われた。
細い管(カテーテル)を使用しての子宮の奥に胚を注入していく。
患者の子宮の状態や形状に合わせて、何種類ものカテーテルが準備されていた。

着床しやすい場所へと確実に移植する為。
京弥さんが細心の注意を払い、カテーテルを私の子宮の奥へと注入していく。

処置台の脇に置かれた超音波のモニター。

「見える?遥ちゃん」

モニター上では白く光るのが初期胚だと説明してくれた。

「見えます…」

「一回目の移植は終わった…」

京弥さんの額に汗が滲んでいた。

「弟に恨まれたくはないからね…」

「ありがとう御座います…京弥さん」

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