相思相愛マリアージュ(後)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
人気のない場所で話をしたいと言うと、彼女は裏庭に案内してくれた。

「君…どうして俺に黙っていたんだ?院長の娘だって…」

「訊かれなかったし…別に父のコトは話さなくてもいいかと思いました」

「話して欲しかった…話してくれたら、手なんて出さなかったのに…」

俺は嘆息して、後ろ髪を掻く。

「…父に会いました?」

「まぁな…」

ショコラブラウン系にカラーリングしたロングウルフヘアを後ろで一つに束ね、仕事モードの彼女。
黒のタイトスカートにグレンチェックのベスト、白いシャツと事務服も卒なく着こなしていた。


彼女を見ていると不埒な感情が湧いて来る。

「それよりも・・・」

「あ・・・アフターピル、処方して貰いますから…安心してください」

「ありがとう…」

「話はそれだけですか?」

「あ・・・あぁ~」

「私、戻りますね…」

彼女は踵を返し、先に行ってしまった。
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