相思相愛マリアージュ(後)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
「本当にお前が手術するのか?奏弥」

「あぁ」

兄貴が俺のメンタルを心配して医局を訊ねて来た。

「泣き虫奏弥のお前にしては我慢強いな…」

遥の涙でもらい泣きするコトはあるけど、遥の悲しみに比べたら、俺の悲しみなんて・・・

俺は遥の前では強がっていた。

俺の同意なしに、授かった命。
でも、その命は儚く散ってしまった。

そして、明日…

俺達は赤ちゃんと対面を果たす。


十二週目以降の胎児は全て薬剤を使用して人工的に陣痛を起こさせて母体から娩出する。

麻酔による無痛分娩の方法も選択することはできたが、遥は選択しなかった。

最後の最後までママとしてのキモチを味わいたいのだろう。
俺も最後の最後まで遥の担当産科医、そして、夫、お腹の子のパパとして付き添うコトを決意した。

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