天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
誰か、誰か……。
「助けて……」
喉の奥から声を絞り出したら、とても優しい声がした。
「もう大丈夫。俺がいるから安心しておやすみ」
氷室先生……。
確かに先生がいるなら大丈夫だ。
そう思うと同時に先生が抱きしめてきて、田辺さんの姿が消えた。
もうこれで安心。
先生の体温が肌に伝わってくる。
人と一緒に寝るのがこんなに心地いいなんて知らなかった。
ふかふかの布団で寝るよりもっと心が安らぐ。
先生の大きな身体に包まれて感じるのは優しさ。
ねえ先生、あったかいよ。
田辺さんは怖いのに、先生に触れられても怖くないのはなぜだろう。
もっと触れてほしいと思う。
次第に意識が遠のいて「茉莉花ちゃん……寝た?」という先生の声が聞こえたけど、もう返事は出来ず、そのまま静かな波のように穏やかな眠りが訪れた。

「……ちゃん、茉莉花ちゃん、そろそろ起きよっか。それとも、俺とこのままずっと寝てる?」
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