天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
10、彼との甘い時間
『まもなく終点東京です』
新幹線に乗っていたらアナウンスが聞こえて、ノートパソコンを広げて仕事をしていた樹や小鳥遊先生がサッと片付ける。
腕時計に目を向けると、時刻は午後四時十二分。
岡山での学会が終わり、後楽園を散策して帰りの新幹線に乗るが、私はひとり放心していた。
身体がふわふわしていてなんだか夢見心地。
昨夜は先生……じゃなかった樹と愛し合うし、朝は彼とシャワー浴びるし、もう私が状況を理解するキャパを超えている。
とか言っても、昨日樹に抱いてとお願いしたのは私だ。
樹は無理してない?とか確認してくれた。
それでも、彼と一緒にいたかったのだ。
カフェで田辺さんに会って、精神的に追い詰められて……。
そんな私を樹は救ってくれた。
もし、彼が昨夜私の寝室に来なかったら、私は田辺さんに電話をして取り引きに応じていただろう。
そう考えるとゾッとするが、その精神的なダメージをなくしてくれたのは樹だ。
恋人なんていらないってずっと思っていたのに、樹は私の生活の中にぐいぐい入ってきた。
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