天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
その強引さにただただ驚き、呆れもしたが、彼だからなのか許せてしまう。
それに私がピンチの時に必ず助けてくれる。
元々すごいお医者さんだと尊敬はしていたのだけれど、いつの間にか自分にとって特別な人になっていた。
今まで恋愛と無縁だった私が樹を好きになるなんて……。
彼の容姿を見ても心がときめくなんてことはなかった。
それなのに恋をしてしまったのは、彼の優しさに惹かれたからかもしれない。
樹と一緒にいると心が安らぐ。
彼が言うように、恋って落ちるものなのだ。
「……ちゃん、茉莉花ちゃん」
樹の声が聞こえてハッとする。
「は、はい?」
慌てて返事をしたら、彼の顔が目の前にあって思わず赤面した。
こんな綺麗な人と昨夜愛し合ったんだ。
夢のような出来事で自分でも信じられないが、まだ残る下腹部の痛みは彼に愛された証。
「茉莉花ちゃん、降りるよ」
私に甘く微笑むその瞳を見て心臓の鼓動が速くなる。
「はい」
急いで準備をして新幹線を降りると、スーツケースを転がしながらタクシー乗り場に向かった。
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