天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
談話室は六畳ほどの広さで、ソファと自販機が置かれている。
飲み物を買おうとしたら、今一番会いたくない人に声をかけられた。
「こんにちは、茉莉花さん。ナースステーションにいなかったので探しました」
それは田辺さんだった。
手には紙袋を持っていて、口元には笑みを湛えている。
「祖母が退院したので、そのお礼に伺いました。忙しくて遅くなってすみません。これ、皆さんでどうぞ」
田辺さんが紙袋を差し出したが、あまりに驚いていてすぐに反応できなかった。
すっかり油断してた。
お祖母さんは退院したから彼は私の前に現れないと思ってた。
「茉莉花さん?どうかした?」
「い、いえ、ボーッとしちゃってすみません。ありがとうございます」
出来るだけ平静を装って紙袋を受け取る。
「今休憩なら、ちょっとここで話しませんか?僕はコーヒーを飲みますが、茉莉花さんはなにがいいですか?」
ニコッと私に微笑む彼。
「断れ」と脳が命じるのに、身体が動かない。
「……私もコーヒーで」
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