猫を拾った
Ep.last【一週間の終わり】

-Day 8-

「おやアキ、残業かい?」



ボスが死んだ顔の俺に、缶コーヒーを持ってくる。
お礼を売って受け取り、プシュッといい音を鳴らして開けた。



「どうだい、“飼い猫”の調子は」


「...さぁ、もう死んだんでしょう」


「おや、猫1匹のしっぽも掴んでいられないのかい?」



ボスが嘲笑う。
嘲笑っていればいい、俺の事なんて。


俺の事なんて、早く...



「依頼人まで殺してしまうなんてね」


「......」


「でもまぁ、判断は正しかっただろう。自分の娘にこの世はあってない、ってねぇ」


「......」


「毒親に悩まされて殺されるよりは、いいんじゃないかい」


次の仕事を期待しているよ、ポンと肩を叩いた。


外はうざいほどに晴れていた。




【総合病院302、紫が起きたよ】




そのリツからのメッセージに、俺は残業のことなんて忘れて、缶コーヒーを倒してこぼしたなんたことなんて忘れて、走った。
< 57 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop