御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか?
彼と別れて2ヶ月後に、社長一家は夜逃げした。

私はどうしてこうも信じてはいけない人を信じてしまったのだろうか。

外見ではないという言葉に囚われて私はその本質を理解していなかった。

イケメンだから遊び人とは限らない。
咲羽の言う特別は私が求めていた特別なのだろうか。

私が黙っていると彼は小さくため息をつき、決心したような顔つきに変わった。

「分かりました。正直に言いましょう。私のような者がこの年で彼女もいなければ結婚もしていないというのは、はたから見て異常のようです。私自身なんの異常もありませんが、そのような世間の目がとても煩わしいのです。父は何度も見合いをさせるし、見合い相手は私に愛というものを求めるし、手詰まり状態だったのです。ですのでこれはいいきっかけです。私のもとに就職しませんか? 結婚という名の就職を」

彼は淡々と語った。

彼の提案は、お互いに一目ぼれをし、誕生日を一緒に過ごし、私の過去を知った彼はすぐにプロポーズをした。お互い惹かれ合っているので、できればすぐにでも結婚したいと彼の両親に伝える。

これで彼の両親は万々歳、今後彼を偏見の眼差しで見る人もいなくなる。
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