御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか?
私はすぐに斜め下を向いたが心臓が早く動きすぎて全身に隈なく血が回り、顔が熱くなるのを感じた。

「悪いようにはしません。子供も大切にします。必ず一緒にキャッチボールもします」

なぜキャッチボール? 女の子ならお人形遊びとかの方が喜ぶと思うけど。

「美音さんは私の子は嫌ですか?」

玲音と私の子。きっと弘美さんならすごく可愛がってくれるだろう。

喜一郎さんなんて溺愛しすぎて顔がとろけるんじゃないだろうか。

この家に生まれた子供はきっと幸せだろう。お金もあり、愛情もある。

玲音がもし子供を邪魔だと思ってもそれ以上に私が愛情を注いであげれば、いや、玲音は子供を大切にすると言っている。

きっと無表情でキャッチボールするんだろうな。

「んふふっ」

「何故笑うのですか?」

「すみません。ちょっと想像して」

「想像?」

「子供と玲音さんがキャッチボールするところ。きっと私達の子供は震えながらボールを投げるんだろうなって」

「何故震えるのですか?」

「だって真顔でキャッチボールされたら子供は怖いでしょ?」

「真顔ではしませんよ」

そう言いながら玲音はゆっくりと真顔で近づいてきて唇を重ねてきた。

舌が絡み合い、彼の息が荒くなっていく。

激しくなるキスに心が揺さぶられる。

「んんっ……」

「嫌ですか?」

「……嫌じゃ、なっ……んっ」

言い終わらないうちに彼の唇が私の言葉を奪い取った。
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