S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う

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その夜、菜乃花は朋久の車で彼の実家へやって来た。訪れるのは今年の正月ぶりである。

高級住宅街の一等地に建てられた豪邸は、優美な曲線を描いた白一色の外観がとても美しい。以前は菜乃花の実家があるごく普通の街に住んでいたが、三年前に新築してここへ引っ越してきた。

朋久には姉弟がいるが、姉は結婚して子どももいて、弟は独立してひとり住まい。彼の両親と家政婦の三人で暮らすには、とても大きな仕様だ。

チャイムを鳴らすと家政婦が現れ、すぐにリビングに案内された。

今日は、ふたりのサインを済ませた婚姻届も持参しており、ふたつある承認欄のひとつを彼の父親に記入してもらう予定である。

六メートル近く高さがある開口部から太陽光を取り込める大きな窓は、午後七時を過ぎた今は夜の静けさを映し出している。明るく落ち着いたトーンのカラーでまとめられた巨大なリビングには暖炉もあり、正月に訪れたときにはその前でうたた寝をしてしまった。

朋久とソファに並んで腰を下ろし、いよいよだと気を引きしめる。


「そんなに硬くなるなよ。俺まで緊張するだろ」
「朋くんでも緊張するの?」
「あたり前だ」
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