S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
朋久に話すなと何度も念押ししたのは、すぐに嘘だとばれるからだろう。あの鑑定書が偽物なのも見破られるから。
『さすがに声に元気がないな。まぁそれもそうだろう。どうだ、間もなくお昼だし充も含めた三人でランチといこうじゃないか。菜乃花ちゃんを励ます会を開こう』
菜乃花が誘うまでもなく、廉太郎から罠にかかってきた。
あまりの呆気なさに朋久も呆れ顔だ。
廉太郎はやけに上機嫌で店を指定し、菜乃花にメールで地図を送ると言って通話を切った。
それほど待たされることなく届いたショートメールには、日本料亭の住所と地図が添付されていた。
「菜乃、行くぞ」
「う、うん……」
手を引かれて立ち上がりながら、つい重い返事になる。菜乃花のときのように、廉太郎が朋久にもなにか妙な話を吹き込むのではないかと警戒したせいだ。あまり気が進まない。
「どうした」