笑顔で君に向けて

「私、花園グループっていう経済グループの会長の孫娘なの。」
恒星先輩には話してもいいような気がした。

恒星先輩は驚いた表情もせずに、ただ聞いているだけ。
それから、名字は母方の名字を使っていること。
お見合いがあり、利益に使われること。
お見合いが決まったこと。
その日が夜弥の誕生日だってこと。


全てを話した。

「恒星先輩は...」
私の立場だったらどうする?

聞きたかった。けど、これは私の問題だから。
「やっぱ、何でもない」

「話してくれてありがとう。」
真剣な顔して、真剣な声で。


「で、でもね!明日、2人で映画を観に行く約束をしたんだ!」

嬉しかったことも。話した。

その日から、何かあるごとに恒星先輩に、相談に乗ってもらっていた。
< 20 / 46 >

この作品をシェア

pagetop