あお
「ううん、こっちこそごめん、忙しいのに…。健藏さんがいなかったら私街を彷徨い歩いてたかも…」

「まったくだよ。この街の道、ちゃんと覚えとけよ!」

「うん、わかった…」

健藏さんは、いきなり顔を近づけてきた。

「!?」

「絵は無理して描くもんじゃないけど、気が向いたら今度この俺の顔描いてな。じゃあ!」

そう言って健藏さんは走って行った。
私はなんだかドキドキしていた。

「びっくりした…」

アパートに帰り着いた途端、疲れがどっときた。

「ただいまー…」

「おかえり。こんな時間まで、頑張るねぇ」

「何も…。依子ちゃんこそこんな時間まで……」

バタッ

「舞子ちゃんっ大丈夫!?」

「う~…だめ…。疲れちゃった…。いろいろ話したいけど…もう寝る。おやすみぃ…」

「おやすみ…」

翌日、私が目を覚ましたのは夜だった。

「私そんなに寝てた!?」

「よほど疲れてたんだねぇ」

「きのうさぁ」

―プルルルル

その時、依子ちゃんの携帯に電話がかかってきた。

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