あお
笑って、そう言う彼の言葉に、私は自然に全部吐き出していた。
今日初めて会った人にもかかわらずに…

「なるほどな…、つらい時だな。俺も去年は今のあんたみたいにつらかったよ。でもそれもずっと続くわけじゃないからさ。俺はやりたい事をみつけられたから大学もやめたし。今はそのために稼ぎまくってるってわけさ」

「へぇ…、よかったねぇ、みつかって…」

「ところでさぁ…名前なんての?俺は滝原健藏」

「藤崎舞子…です」

「舞子ってさぁ、一年のいとこの一つ上ってことは、俺とタメだな」

「あ、そうだね」

「…そろそろ帰るか。いとこちゃんが心配してるかもしれんぞ」

「えっ、もうこんな時間!?あ…でも……」

「何?」

「私…夢中で走ってきて、帰り道がわかんない…」

「は?わからずにこんなとこまで来たのかよ。しょうがねぇなぁ、おくってやるよ」

健藏さんは、大学までおくってくれた。

「こっからはわかるよな?家までおくってもいいけど、これからまたバイトなんだ。悪いな」

< 17 / 100 >

この作品をシェア

pagetop