あお
大切な
「…私が必要なの?迷惑じゃないの?ねぇ!?」

「や…、すみません、ちょっと間違っちゃったみたいっす」

間違い…

私の姿が恐かったのか、男はそそくさ逃げて行った。

私は追い詰められていた。
思い返せば、私はどこに居ても必要とされていなかった気がする…。
私がいると、みんなに迷惑をかけてしまう…。

アパートにも帰れない。
母が言うように、もしかしたら依子ちゃんの足を引っ張ってるのかもしれないし…。
そんなのやだ……。

私は一体どこに居たらいいのだろう…?

涙も枯れ、私は止まる事なく、知らない道をトボトボと歩いていた。

依子ちゃんと健藏さんは、陽が落ち暗くなっても、まだ私のことを探してくれていたようだ。

「どこ行っちゃったんだろう…?信号なんか無視して追いかけたらよかった…。舞子ちゃーん…」

…ポーピーポーピーポー……

救急車が通り、二人はゾクッとした。

「まさか…」

「…大丈夫だよ!あいつあれで結構芯は強いから…バカなことするもんか」

言いながら、健藏さんも内心不安になっていた。

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