あお
「やだ、もう帰って寝る…」

「その方がいいな」

「健藏さんだって私のせいで睡眠不足じゃ…」

「俺は舞子の膝の上で寝たから充分だよ。またしてね」

「えー?」

「絶対してね」

「えー?」

冗談を言いながら、健藏さんは途中まで送ってくれた。

「俺こいつらの里親探すから、ここでいいか?」

「うん、ありがとう…」

「ちゃんと帰れよ。信じてるからな。じゃ、またな」

うちまでの道、私は何も考えずに歩いていた。だけどアパートが見えてきた頃、母や須藤さんの言葉が頭の中で蘇ってきた…。
このまま帰っていいのだろうか…。
迷ったけれど、蘇ったその言葉たちをかきけすように、健藏さんの言葉と笑顔が浮かんできた。逃げてはいけない…、私には信じてくれる人がいるんだ。

「あ…」

私は昨日、鍵も持たずに出てきたのだった。依子ちゃんは学校だし…
また公園でも行くか…と、後返ろうとしたら、

「舞子ちゃん!」

依子ちゃんが部屋から出てきた。

「おかえりー、もう、どこ行ってたの!?心配したよー…」

「ごめん…。依子ちゃん、学校は?」

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