激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす

それから昨夜の千花の様子を詳しく聞くと、胸が張り裂けそうに痛む。

『今園長に聞いたら、急だけど1週間休みが欲しいとお昼頃連絡があったそうです』
「1週間……」

その間、この家には帰ってこないつもりだろうか。

『どこに行っちゃったんだろう。話し合えっていったのに…。千花は溜め込んで爆発するタイプなんだから』

電話越しにも彼女が千花を心配しているのが伝わり、颯真が「千花と話して必ず連れ戻します」と告げると、陽菜が息を呑んだ。

『…千花のこと、弥生さんの代わりにしてるわけじゃないんですよね』
「違います」
『いくら政略結婚だったとしても、結婚した以上責任とって泣かせないであげてください。大事な…親友なんです』
「俺は…政略結婚だなんて思ってない。千花だから結婚したんです」

颯真が前髪をくしゃりと掻き上げながら言うと、電話の向こうで陽菜が笑う。

『それをぜひ千花に言ってあげてください。きっと…』

それ以上は自分が言うことではないと判断したのだろう。陽菜は口を閉ざした。

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