激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす

千花が高等部2年の終わり、弥生が大学の卒業式翌日に失踪した。

部屋には『ごめんなさい。これからは自由に生きたい』という書き置きを残したのみで、月城家の御曹司、颯真との婚約発表を控えていた森野家はスターライト・フィナンシャルグループを巻き込み上を下への大騒ぎとなった。

特に激怒した父は何としても弥生を探し出して連れ戻そうとあらゆる手を使ったが手がかりさえ見つけられず、母は涙に暮れた。

千花も何がなんだかわからなかった。ただ大好きな姉がいなくなってしまったという事実に呆然とするしかなかった。

何度掛けても繋がらない電話。既読にならないメッセージ。

弥生の『これからは自由に生きたい』という手書きの書き置きを見ては、ずっとその意味を考えていた。

両親に決められたレールの上を走り、学校も習い事も、時には付き合う友人さえも口を出されてきた。

そんな中でも、弥生はずっと笑っていた。自分と違い、何でも出来た姉が家を出ていくほど窮屈な思いをしていたのに気が付かなかった。

颯真との婚約の話だって、嫌がっている素振りはみたことがない。

高等部の頃はよく友達何人かで家に遊びに来たりと交流もあったし、大学に進学してからも2人で出掛けているのは知っていた。

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