激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす

(けど…、これは持っていかないのが正解な気がする)

嫉妬めいた視線を浴び、くすぐったさに耐えながら颯真の耳元で囁いた。

「颯くんが私以外のチョコをお断りしてくれるなら、私も他の人にあげたりしない」

恥ずかしさから首に手を回してぎゅっと抱きつくと、颯真も同じ様に抱きしめ返してくれる。

「いい子」

吐息が耳に触れる距離で聞こえる颯真の壮絶な色気をまとった声音に、千花はビクッと身体を竦ませた。

「いい子の千花にはご褒美をあげないとな」
「颯くん…」
「愛してるよ、千花」

ゆっくりとベッドに押し倒されながら唇が重なり、チョコレートよりも甘く濃厚な時が始まる。

(私も、大好き…)

言葉に出来ない幸せな気持ちを伝えるようにキスに応えると、嬉しそうに目を細めてくれた颯真の表情で、千花はちゃんと伝わっているのだと安堵した。





end

< 160 / 162 >

この作品をシェア

pagetop