激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす

中等部へ進学すると、高等部3年になった弥生と同級生の颯真が生徒会役員だということを知った。

それと同時に、2人が親密な関係だという噂がまことしやかに流れているのも聞いた。

颯真とは元々社交の場でも何度か顔を合わせていたし、家にも他の同級生と何人かで遊びに来ていたので姉と仲がいいことは知っていた。

比較的裕福な家庭の子女が通う学校の中でも抜きん出た家柄で、学生の頃から目立った容姿だがそれを鼻にかけることもなく、面倒見が良くて男女どちらからも慕われている印象だった。

家に来た時は千花も一緒に遊んでもらったり、時には勉強を見てもらったこともあった。

将来の夢という作文に保育士と書いていたのを見て、夢が叶うといいねと笑ってくれた颯真に、千花は小学生ながら淡い恋心を抱いていた。

しかし、その噂を聞かずとも、千花の初恋はあっけなく散った。

当人同士は肯定も否定もしていないようだったので校内では噂の域を出なかったが、千花は父から弥生と颯真が大学を卒業するタイミングで正式に婚約発表をする予定なのだと、姉とともに聞かされていた。


―――そう。颯真は元々姉である弥生の婚約者だった。

千花と弥生の父親はスターライト・フィナンシャルグループの執行役社長で、颯真の父の会社である月城不動産とはここ20年ほど取引相手として付き合いがある。

スターライト銀行が月城不動産への融資をしているのだが、決して月城不動産にとってスターライト銀行がメインバンクなわけではない。

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