LOVER BAND
最近、公安の協力者が組織のアジトの一つを見つけ出してくれた。近々、捜査員たちはそこに奇襲をかけることにしている。

「君がついて来ないなら、何人もの命が消えることになる。でも、君がついて来てくれるならその捜査官たちは家族の元に帰ることができる。どうする?」

犯罪者の言うことに従うなど、警察の人間が、それも公安警察がするなど批判されるどころでは済まない。しかし、従わなければここで自分は目の前にいる男に殺され、何人もの捜査員の命が失われる。その家族の苦しみ、悲しみは永遠に続くのだ。

「……わかりました。あなたの言うことを聞きます」

麗奈が震えた声でそう言えば、無表情だった創は一瞬にして笑顔になる。そして、犯罪者とは思えないほど優しい目をしながら、麗奈の頭を撫でた。

「優しい君ならそう言ってくれると思ったよ。本当に嬉しいな。君のことを独り占めできるなんて……。ああ、逃げようなんて思わないでくれ。君が逃げてしまったら、僕は何人殺すかわからないからな」
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