タツナミソウ
ベットの上に足を広げて立って、両手を組んで手のひらが天井についてしまうのではないだろうかと思うほどおもいっきりのばした。ベットがギシギシと言って怒っていたから仕方なく降りた。
左手で右の肩の付け根を掴み体を伸ばした。目を閉じながら首をぐるぐる回した。
ピンポンと携帯の音が部屋に鳴り響いた。
深澤君からの返事だろう。正直、早くみたいようで見たくない。送った事に後悔は全くしていないけど少し恥ずかしい。目を細めながらメッセージを見た。

「え、、、?」

相手は深澤君じゃなかった。昨日は舞の事で頭がいっぱいいっぱいで自分が翔平と喧嘩中という事を忘れてしまったいた。私の賢い頭が忘れさせてくれていたのかもしれないけど。

「昨日は冷たい態度とってごめん。実は亮太との事で仕事もできなくなるくらいなのかよって呆れてた。俺は一生懸命仕事している幸子さんが好きなのにって思った。でも、昨日の夜深澤さんから連絡あってさ。詳しい事は言ってなかったけど、なんとなく察した。まじごめん。俺って本当いつまで経っても子供だわ。」

私の方がよっぽど子供だ。だって私は、翔平が勘違いしているのを気づいていて、それに腹を立てて冷たい態度をとった。素直になって翔平に本当の事を話せば良かった。翔平が他の人に言いふらしたりしない事とか馬鹿にしない事とか茶化したりしない事。全部わかっていたはずなのに、、、。いやそれに腹を立てていたわけじゃない。亮太との事で舞い上がって仕事を蔑ろにしたと思われたのが嫌だった。と思う?恋とかで、仕事に力が入らないと思われたのが気に食わなかった、、?いや、そんな言い方したら舞に悪いけど。いやいや、舞は仕事はしっかりやっていたから悪くはないか。もうなんなのだろう。深澤君にはあんなに素直になれたのに、どうして翔平には怒りとか悲しみばかりが湧いてしまうのだろう。自分でも自分がわからない。亮太がずっと好きだったはずで、また会う事ができるようになって好きがどんどん膨らんでいって。でも、舞と深澤君を見てちょっとモヤモヤして。翔平君には八つ当たりとかして。私ってこんなに自分勝手な人間だったんだっけ。
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