タツナミソウ
家に着いて鞄を下ろして、部屋着に着替えてメガネをして前髪を上げた。ベットに飛び乗って大の字に寝転んだ。くるっとひっくり返り天井を見つめた。このなんとも言えない吸い込まれる感じが大好きだ。高校生の時に、結婚するなら布団みたいな人がいいって言ってた自分を思い出した。それから恋愛の事を考えないようにしすぎて忘れてしまっていた。というか無意識に忘れるようにしていたと思う。でも、今も昔も考えは変わっていない。結婚するなら布団のように優しく包み込んでくれる人がいいな。だけど私と亮太って結婚はできないよね。流石に翔平の人生そこまで邪魔する事できないし。待てよ。という事は、もし翔平に好きな人が出来てしまったら、この関係は終わり?その前に翔平って好きな人とかいないのかな?もしいたら私すっごい邪魔してるかもしれない。どうしよう。もう!ここ最近色々ありすぎて、頭がパンクしそうだ。
幸子はうつ伏せになりベットの上で、ひっくり返ってしまったゴキブリのように手足をバタバタさせた。しばらくするとやめて、また始めて、またやめてを繰り返した。
メッセージの着信音が幸子を呼んだ。

「誰だろう、、。」

携帯を開くと深澤君からだった。

「さっきは色々ごめんな。翔平君にも悪い事した。大人気ない。でも俺もう自分の気持ち誤魔化さないって決めたから。それに最初に約束しただろ?俺が幸子を守るって。絶対幸せにするって。まあ、振られるのわかってて言ったから。でもこれで俺の事少しは意識してくれたでしょ?俺諦め悪いから。覚悟してよ。じゃあ、おやすみ。返信いらないから!」

深澤君ってこんなにガツガツ行くタイプだったっけ?知らないだけで今までの彼女にもこんな感じだったのかな?そういえば、深澤君の彼女ってみんな大人っぽくて綺麗な子ばっかりだったよな。あれ?前の子の事なんて今まで考えた事なかったのに。もしかして、まんまと深澤君の策略にはまってる?あれ?私の胸ドキドキしちゃってる?もうダメ。パンクする、、、。
幸子は全身の力を全てベットに移した。雲の上にいるように。ふわふわと。
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