タツナミソウ
もう一回寝てしまおう。布団をかぶった時、また携帯が鳴った。

「あれ?また深澤君かな?」

メッセージを見た瞬間、心がぎゅっとなるのがわかった。

「無事に帰れた?さっきはごめんな。帰る時間も遅くして。深澤さんの気持ち、実は知ってたんだ。黙っててごめんなさい。言い訳すると、せっかく会えた亮太と幸子さんを混乱させたくなかったんだ。結果的に幸子さんがどう思ったかはわからないけど。俺は幸子さんが幸せになる方を応援するよ。俺だから言える事だと思うから言うけど、亮太に変に気使う必要ないと思うよ。自分に素直になってな。まあ、俺とは友達として仲良くしていこうな。」

翔平は結局いつも優しいな。全部私の事を思って行動してくれているのがわかる。亮太の弟とか関係なく、仲良くなりたいな。

「こちらこそ、ごめんね。私を思ってしてくれたんだよね?ありがとう。うん。よく考えるね。今度ご飯でも食べに行こう!お姉さんが奢ってやるよ。」

「はいはい。奢ってください。お姉様。」

この後、おやすみを言いメッセージは終わった。翔平といると1番楽で、ありのままの自分でいられる気がする。

少し面倒だなあと思いながら、お風呂にお湯を溜める。その間に化粧を落として歯磨きを済ませてしまう。半分くらい溜まった湯船に浸かって、どんどん今日の汚れを流していく。上がった時の私は綺麗になっているのかな?

私の中の筆洗バケツは、この間変えたばかりのはずなのに、何故かホコリとか、なんか口に出してはいけないようなものが沢山浮いていた。色も何色を使ったらこうなってしまうのだろうと思うほどになっていた。だから、今日は水を洗い流してスポンジで一生懸命擦ってピカピカにした。指で撫でるときゅっとなるようなくらいまでに。
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