王子達は公爵令嬢を甘く囲いたい

 「あ、あの…」

 この状況をどうにかするために立ち上がった勇者は兄様だった。

 「父様、母様、それで僕らはどうすればいいので
 すか?」

 「「あっ」」

 お父様とお母様はやっと我に返って、『しまった』って顔をした。
 おい、忘れないでよ、今日の本題。

 「コホンッ。あ、あぁ、そうだね。今のところ特
 にこれと言ってすべきことはないよ。ただ、一応
 君達はレクイエム帝国の王位継承権を持つ王子王
 女だからね、これから学ぶべきことは増えるよ」

 「分かりました」
 
 「属性確定もしたから、明日から魔法学も加わる
 からね」

 やった!やっと魔法使えるんだ!
 どんなふうにするのかな?
 『ファイアーボール』とか『ウィンドカッター』
とか、詠唱するのかな?
 でも、できれば無詠唱がいいな…。だって、それだったら厨二っぽそうだから恥ずかしいしね。

 私がワクワクしてたのが分かったのだろう。
 兄様とお父様、お母様が微笑ましそうにこちらを見てきた。

 「良かったね、アンジュ」

 「(くっ、なんていい笑顔なんだ兄様。美形の笑
 顔、破壊力が凄すぎる…。同じ顔のはずなのに、
 兄様だとキラキラ度がアップしてるよ…)」

 「ねぇ、なんかへんなこと考えてない?」

 「へっ?!な、何も考えてませんよ!?」

 「そう?」

 「は、はい!そうですよ!」
 


 「ザライドとアンジュは仲がいいわね」

 「仲がいいのに越したことはないね」

 「そうよね。恋愛感情は抱けなくても、兄妹愛が
 深ければ問題はなさそうだし…」

 「そうだね。あ、そういえば、陛下が─」

 

 私と兄様が会話をしてた時に、両親がそんなことを話してたことに私達は気づかなかった。


 
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