恋の誘導尋問~恋に不器用な先輩に捕われたい~
「松尾悪い。私服だとなんかいつもと感じが違って見えて、一瞬誰かわからなかった」
「それは佐々木先輩も一緒です。待ち合わせですか?」
時刻は夕方の5時過ぎ。場所が地元では待ち合わせの目印になっている銅像の前だったので、会話のキャッチボールを成立させるべく訊ねてみた。
「ああ。待ち合わせしてたんだけど、時間になっても現れないところをみると、振られたみたいだ。LINEしても既読がつかない」
佐々木先輩は、手に持っていたスマホを見ながら答えてくれた。
「……それって、彼女さんですか?」
上目遣いで、一番訊ねたかったことをずばっと告げた。会社ではそういう類の存在を示すような匂いが、佐々木先輩からまったくしないため、女子社員の間で彼女の有無がよく話題にあがっている。
そつなく仕事をこなす先輩ゆえに、彼女の存在を悟られないように、うまくカモフラージュしているのかもしれない。
「松尾ってば、下世話な質問するのな」
「だって佐々木先輩のプライベートって、謎に包まれていますし。気になるのは、当然のことだと思います」
「そういうおまえは、どうなんだよ?」
「へっ?」
「彼氏と待ち合わせしてるのか?」
佐々木先輩は私の質問に答えずに、いきなり変な切り返しをした。
(私に質問して、彼女の存在を誤魔化す気でいるのかもしれない。その手には乗らないもんね!)
「3ヶ月前に彼氏と別れた私に、そのセリフはめっちゃ酷なんですけど!」
胸を張りながら、腰に手を当てて流暢に説明した私を見る佐々木先輩の口元が、一瞬だけ引きつった。会社で見ることのできないその顔は、ちょっとだけ面白いと思ってしまった。
「知らなかったこととはいえ悪かった。ここで逢ったものだから、てっきり彼氏と待ち合わせしているのかと思ったんだ……」
「それは佐々木先輩も一緒です。待ち合わせですか?」
時刻は夕方の5時過ぎ。場所が地元では待ち合わせの目印になっている銅像の前だったので、会話のキャッチボールを成立させるべく訊ねてみた。
「ああ。待ち合わせしてたんだけど、時間になっても現れないところをみると、振られたみたいだ。LINEしても既読がつかない」
佐々木先輩は、手に持っていたスマホを見ながら答えてくれた。
「……それって、彼女さんですか?」
上目遣いで、一番訊ねたかったことをずばっと告げた。会社ではそういう類の存在を示すような匂いが、佐々木先輩からまったくしないため、女子社員の間で彼女の有無がよく話題にあがっている。
そつなく仕事をこなす先輩ゆえに、彼女の存在を悟られないように、うまくカモフラージュしているのかもしれない。
「松尾ってば、下世話な質問するのな」
「だって佐々木先輩のプライベートって、謎に包まれていますし。気になるのは、当然のことだと思います」
「そういうおまえは、どうなんだよ?」
「へっ?」
「彼氏と待ち合わせしてるのか?」
佐々木先輩は私の質問に答えずに、いきなり変な切り返しをした。
(私に質問して、彼女の存在を誤魔化す気でいるのかもしれない。その手には乗らないもんね!)
「3ヶ月前に彼氏と別れた私に、そのセリフはめっちゃ酷なんですけど!」
胸を張りながら、腰に手を当てて流暢に説明した私を見る佐々木先輩の口元が、一瞬だけ引きつった。会社で見ることのできないその顔は、ちょっとだけ面白いと思ってしまった。
「知らなかったこととはいえ悪かった。ここで逢ったものだから、てっきり彼氏と待ち合わせしているのかと思ったんだ……」