恋の誘導尋問~恋に不器用な先輩に捕われたい~
「いーえ、おかまいなく!それで佐々木先輩はどうなんですか?」
たじろぐ佐々木先輩に、口撃の手を緩めずに問いかける。悲しい事実を先に暴露した私が、どう考えても有利だろう。
目の前から視線を外さずに、今か今かと返答を待っていると、佐々木先輩は小さなため息をついてから、やっとといった感じで口を開く。
「……仕事が恋人の俺に、そういう質問をする時点で、どうかと思うけど」
「仕事が恋人……?」
(――きっと責任の重い日々の仕事に忙殺されて、出逢う機会を逃した結果が、その言葉になっちゃったんだろうなぁ)
「なんだよ、その目は。可哀想なヤツを憐みる感じで見られると、対処に困ってしょうがない」
「意外だなと思って見つめたんですよ、これでも」
「意外?」
眼鏡の奥にある、形の綺麗な二重まぶたを瞬かせながら呟いた佐々木先輩相手に、世紀のすごい話を吹っかけるべく、右手人差し指を立てて語りかける。
「スーツをビシッと決めるように、着ているワイシャツの皺がひとつもなく、ネクタイのセンスもいい、イケメンな佐々木先輩に彼女がいないのが不思議だなぁと思っただけですよ。ほかの男性社員と比べて隙がないのは、変な噂話をされないようにした、佐々木先輩の気遣いかなぁって」
「実際俺には彼女はいない。だからそんな気遣いする余裕はないし、仕事のことで頭がいっぱいだ」
肩を竦めて返答されたセリフを聞き、私はニッコリ微笑む。佐々木先輩は意味深な笑みを、どんな意味に捉えるだろうか。
たじろぐ佐々木先輩に、口撃の手を緩めずに問いかける。悲しい事実を先に暴露した私が、どう考えても有利だろう。
目の前から視線を外さずに、今か今かと返答を待っていると、佐々木先輩は小さなため息をついてから、やっとといった感じで口を開く。
「……仕事が恋人の俺に、そういう質問をする時点で、どうかと思うけど」
「仕事が恋人……?」
(――きっと責任の重い日々の仕事に忙殺されて、出逢う機会を逃した結果が、その言葉になっちゃったんだろうなぁ)
「なんだよ、その目は。可哀想なヤツを憐みる感じで見られると、対処に困ってしょうがない」
「意外だなと思って見つめたんですよ、これでも」
「意外?」
眼鏡の奥にある、形の綺麗な二重まぶたを瞬かせながら呟いた佐々木先輩相手に、世紀のすごい話を吹っかけるべく、右手人差し指を立てて語りかける。
「スーツをビシッと決めるように、着ているワイシャツの皺がひとつもなく、ネクタイのセンスもいい、イケメンな佐々木先輩に彼女がいないのが不思議だなぁと思っただけですよ。ほかの男性社員と比べて隙がないのは、変な噂話をされないようにした、佐々木先輩の気遣いかなぁって」
「実際俺には彼女はいない。だからそんな気遣いする余裕はないし、仕事のことで頭がいっぱいだ」
肩を竦めて返答されたセリフを聞き、私はニッコリ微笑む。佐々木先輩は意味深な笑みを、どんな意味に捉えるだろうか。