恋の誘導尋問~恋に不器用な先輩に捕われたい~
「しゅ、俊哉さん、今度はなにをしようとしてるんですか?」

 いきなり私を横向きに寝かせて、後ろから抱きしめた。笑美に手を出すと宣言されているので、一応覚悟しておく。息つく暇もないとは、このことかもしれない。

「なにって笑美が感じる部分を、こうして背後から探ってる最中」

 横向きになって寝ているので、俊哉さんがどんな表情をしているのかはわからない。不安を覚える私を尻目に、俊哉さんは背後から腕を伸ばし、脚から内股へと手を滑らせた。ときどき爪をたてるように撫で擦るせいで、ゾクッとするものを感じてしまう。

「前から触れるのと後ろから触れるの、どっちが感じる?」

 楽しそうに訊ねられても、俊哉さんがすることのすべてに感じてしまうので、返事にすごく困った。

「あのぅ、ちょっとだけ休憩しませんか?」

「俺はしっかり休憩してるけど」

 言いながら俊哉さんの手が、私の内股をなぞるように蠢いた。

「私としてはこの状態では、まったく休憩になっていません」

「だったら、休憩できるような触れ方にしてあげる」

(あ~もう! どうしても触るって言うなら!)

「それじゃあ私も、俊哉さんの俊哉さんを触りますけど、それで休憩できるんですね?」

 なんとかしなければと急いで考えついたことを、思いきって言い放ったら、俊哉さんの手の動きがピタリととまった。

「笑美が触りたいのならどうぞ! 俺の大事なところに触りたかったとは、全然思わなかった」

 耳元でくすくす笑って私の手首を掴み、俊哉さんの腰骨に触れさせる。男らしい骨格をてのひらに感じた瞬間、思いっきり狼狽えてしまった。

「きゃっ!」

「笑美の触りたがってる俊哉さんの俊哉さんじゃないのに、どうしてそんな声を出すんだ? さぁさぁ遠慮せずに触っていいぞ!」

 イジワルな彼氏の誘導に、まったくなす術がなかった私。俊哉さんの考える休憩と私の思う休憩の違いや、すべてにおいてスペックの高い俊哉さんが、それらを全力で私のために使うので、大体何でもやろうと思えば、ホイホイこなせてしまうことに、絶望というか諦めというか。

 その後、私は楽しそうな俊哉さんの手によって、とろとろにされてしまったのだった。
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