バカ恋ばなし
それ以降も私は、毎朝譲二君と一緒の車両に乗り込み登校することに情熱をかけて

いた。

「絶対譲二君と隣り合わせになるんだ!ギョロや出っ歯なんかに負けてたまる

か!」

試合を挑む意気込みで毎朝車両に乗り込んだ。そして周りの乗客と一緒に乗り込む

勢いにまかせてさりげなく譲二君の左右隣、時には後方に近づいたり、ラッキーな

ときは向かい合わせになった。隣の座をギョロや出っ歯に取られ、勝ち誇った表情

をこちらに向けてきたときは悔しくてたまらなかった。そんなときは、高校まで道

のりである商店街を歩きながらブスくれた顔でずっと暴言を吐いて憂さ晴らしをし

ていた。

「クッソー!あのブスどもめ!!プリンスに近づきやがって!!」

私の超くだらない愚痴と暴言を隣で聞いてくれていた佳子と清子に気の毒な想いを

させたと後になって反省した。

こんな電車でのやり取りを毎朝私は胸をときめかせながら繰り返していた。繰り返

し隣り合わせになることで、彼に私の想いが伝わる!そんな浅はかなことを真面目

に信じ込んでいた。

夏の暑さが徐々にきている6月初旬の頃、比呂ちゃんのお友達経由でとある情報を

入手した。譲二君の通う高校の文化祭が開催されるのだ!

譲二君の文化祭にぜひぜひ行ってみたい!譲二君がどんな高校に通っているかを見

てみたい!でも一番は譲二君に会いたい!!私は早速佳子と清子を誘って文化祭に

行くことに決めた。
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