バカ恋ばなし
朝の早起きが超苦手でいつもギリギリに起き

てきて母親に怒られていたが、譲二君に会え

るためには早起きもいとわない!朝6:30

分にはしっかり起きて顔を洗い、髪をとかし

ながら

「今日はどのリボンを使おうかな?」

「このリボンは爽やかに見えるかな?」

とニヤニヤした顔つきで洗面所の引き出しに

入っているリボンを幾つか出して選んでい

た。自分なりに朝からおしゃれに目覚めたわ

けだ。しかし、肩より10cmくらい長いロ

ングヘア―のくせに手先が不器用なため、上

手く髪を結えない私は、いつも右耳横で一つ

に束ねるか、または後頭部がややポッコリし

た低めのポニーテールもどき(要するに上手

く束ねられていない)、後ろ一本の三つ編み

と地味な髪型にしかできなかった。ただ地味

な髪型でも、リボンで結ぶと少しはあか抜け

て見えてきた。茶色や紺色のシックなリボン

を使ったり、白や水色のリボンで爽やかにし

たり。時にはストライプや水玉模様のを選ん

だりと、そんなことをしながらいかに譲二君

に良い印象を与えられるかを考えつつも自分

なりにオシャレを楽しんでいた。

譲二君は朝7:25分発の電車に乗って通学し

ているので、絶対に遅れてはならない!

「どうしても一緒の電車で一緒の車両に乗り

込むんだ!!」

自転車のペダルを押す足に力がこもり、颯爽

とK駅まで一気に自転車を飛ばしていった。

駅前に到着して同級生で親友の平井 佳子、

森山 清子と合流し、駅ホームへ向かった。

改札口を通過して階段を駆け上り、ホームを

見下ろすと、多くの人々が電車を待っている

中、譲二君はお友達二人と談笑していた。す

ぐに譲二君のいる場所がわかった。この時刻

の駅ホームでは、通勤の会社員や、私たち同

様高校生も多く、賑やかに人で溢れていた。

男子高校生も多くいた中で、譲二君は一際爽

やかで輝いて見えた。彼と一緒にいるお友達

二人が、背が低くて二人とも眼鏡をかけて同

じような風貌だからなおさらそう見えた。だ

からすぐに見付けられたのだと思う。そんな

譲二君を私達3人は密かに「プリンス」と呼

んでいた。大袈裟な言い方だが、私にとって

彼は「白馬に乗った王子様」のような存在な

のだ。
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