バカ恋ばなし
申し送り終了後、私たち3人は恐る恐る北島さんのところに集まった。
「それじゃあ~オリエンテーションを始めるよ~。」
北島さんの気怠い声掛けでオリエンテーションが始まった。病棟内にある病室、分娩室、倉庫、回診車や物品の場所を順番に案内してくれたが、病棟内を歩くその足取りはすり足気味でナースサンダルの底がカスカスと音を立てて足元からも怠そうな雰囲気を醸し出しながら私たちを案内してくれた。
(あの人怠そうだなぁ……)
私はそんな北島さんを見て、何だか自分もつられて身体が怠くなりそうになった。分娩室内を案内してもらっているときのこと、
「ねえ、丸田さんだっけ。あなたさぁ……この病棟には希望で来たの?」
北島さんがくるりと振り向いて唐突に質問をしてきた。
(うわっ、何だ?おっかねぇわ……。)
ここで「希望で来ました。」なんて答えたらわざとらしいかなと思い、私は正直に答えた。
「いや……。」
「やっぱりねぇ~。あなた、何だか嫌そうな顔しているもんね。」
「えっ?そうですか?」
私は北島さんに心の中を見透かされている感じがしてかなり動揺した。動揺のあまり胸の鼓動がドクドクと鳴り始めた。
(マズい、おもいっきり顔に出ていたんだ……。)
「そりゃあ希望しないもねぇ~。だってここ、人気ワースト1位の病棟だしね。希望してないのにここへ配属になったんだね~。」
「……。」
「そういうのを何て言うかわかる?」
「えっ?……。」
困惑した私を見て北島さんは、口元に微かな笑みを浮かべながらこう言い放った。
「そういうのをね~“左遷”って言うんだよ。」
「……」
私は何も言えず黙り込んでしまった。北島さんに心の中を見透かされたあげく“左遷”と言われたこと、それが私の心の中にグサッと鋭く突き刺さり、私は居た堪れない気持ちになった。この先の看護師ライフが増々不安になり重く圧し掛かってきた感じがした。
「それじゃあ~オリエンテーションを始めるよ~。」
北島さんの気怠い声掛けでオリエンテーションが始まった。病棟内にある病室、分娩室、倉庫、回診車や物品の場所を順番に案内してくれたが、病棟内を歩くその足取りはすり足気味でナースサンダルの底がカスカスと音を立てて足元からも怠そうな雰囲気を醸し出しながら私たちを案内してくれた。
(あの人怠そうだなぁ……)
私はそんな北島さんを見て、何だか自分もつられて身体が怠くなりそうになった。分娩室内を案内してもらっているときのこと、
「ねえ、丸田さんだっけ。あなたさぁ……この病棟には希望で来たの?」
北島さんがくるりと振り向いて唐突に質問をしてきた。
(うわっ、何だ?おっかねぇわ……。)
ここで「希望で来ました。」なんて答えたらわざとらしいかなと思い、私は正直に答えた。
「いや……。」
「やっぱりねぇ~。あなた、何だか嫌そうな顔しているもんね。」
「えっ?そうですか?」
私は北島さんに心の中を見透かされている感じがしてかなり動揺した。動揺のあまり胸の鼓動がドクドクと鳴り始めた。
(マズい、おもいっきり顔に出ていたんだ……。)
「そりゃあ希望しないもねぇ~。だってここ、人気ワースト1位の病棟だしね。希望してないのにここへ配属になったんだね~。」
「……。」
「そういうのを何て言うかわかる?」
「えっ?……。」
困惑した私を見て北島さんは、口元に微かな笑みを浮かべながらこう言い放った。
「そういうのをね~“左遷”って言うんだよ。」
「……」
私は何も言えず黙り込んでしまった。北島さんに心の中を見透かされたあげく“左遷”と言われたこと、それが私の心の中にグサッと鋭く突き刺さり、私は居た堪れない気持ちになった。この先の看護師ライフが増々不安になり重く圧し掛かってきた感じがした。