意地っ張りな恋の話
「…お姉さんのこと、何より1番に考えてる人はきっと居ますよ
だからその人のこと、ちゃんと見て」
いこう、とヨルくんの手を引いて店の方向へ歩く。
もうお姉さんは追っては来なかった。
「…ゆりちゃん、」
「ごめん、今はなんも話すことないから。
早く手当てしよう」
「…ごめんなさい」
ごめんなさい、と小さく繰り返すヨルくんの声は段々と震えて、
最後の方は泣き声になっていた。
店に入ると目をまんまるにした店長に迎えられた。
そりゃそうか、あたしの髪の毛は変なところでばつりと切れてるし、その髪の毛にはべったり血がついてるし。
おまけに手を血だらけにした男の子まで連れて帰ってきて。
「あ、あなたいつもきてくれてる…どしたのその傷、誰にやられたの?!」
「…すみません店長、ちょっと一旦手当てしても良いですか」
警察、警察と騒ぐ店長を宥めて更衣室へ入る。
パイプ椅子にヨルくんを座らせた途端、腰が抜けた。
怖かった。死ぬかと思った。