【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた

「いやいや、お待たせしちゃってすいませんねぇ~」

「…」

「てゆーか車で迎えにくれてすごぉ~く助かりますッ!
碧人さんもお仕事でお疲れなのに申し訳ないです~」

「……」

余りにも不機嫌そうなので出来る限りの感謝の言葉を投げかけたが、碧人さんはむすりとしたままハンドルを握る。

…何?
表の顔は優し気な碧人さんだというのは知っている。なんせ敵は二重人格だ。

私の前では口も悪けりゃ態度も悪いけれど、理由もなく不機嫌を人にぶつけるタイプではないとも知っている。

だからこそこの態度にはこっちだってちんぷんかんぷんである。

「碧人さん、何かありました?」

「別に何も……」

声を掛けてもフイッと視線を逸らされるばかりだ。
何でもないって態度じゃない!一体何だっていうのよ?!
感じが悪い…。

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