嘘カノでも幸せになれますか

「ユズ! 急にいなくなるなよ。中谷、練習の邪魔して悪かったな」

何故かダンが私の後ろにいて、咲希に謝った。


「暖先輩、柚葉と付き合うのは大変でしょうけど、柚葉をよろしくお願いしますね」

咲希がダンにそんなことを言うから、周りの人から冷やかされてしまった。


「ユズ、大好きって告白する相手を間違えてるから。ほら、帰るぞ」


帰るぞってダンが言って私の手を掴み、バスケコートからダンに連れ出された。


さっきまで小さい声で冷やかしていた皆の声がダンの一言で急に大きくなり、体育館中が大騒ぎになってしまった。

中でも一番大声で冷やかしてきたのは一輝先輩で、

「アホ暖! 早く消えろ! 邪魔だ、アホ暖」

その声が体育館に響くと、冷やかしの声は爆笑に変わり、ダンも私もその場にいられなくて足早に体育館を後にした。
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