嘘カノでも幸せになれますか

駅までの帰り道では、唯花ちゃんのことをダンに話した。

「明日、唯花ちゃんに何か言われちゃうかな。大体さ、一輝先輩が私のこと好きとか、唯花ちゃんがあり得ない誤解をするから。どうやってその誤解を解こう」

「その唯花ちゃんは一輝のことが好きなんだろ? だったら心配すんな。一輝がなんとかしてくれる」

「どこからそんな発想が出てくるの? 一輝先輩は唯花ちゃんから告白された訳でもないし、動きようがないじゃない」

「まあ、大丈夫だろ。それより、ユズ。待ち合わせに来ないとか、もうやめてくれよ。本当に何かあったんじゃないかって心配したんだからな」

「それは、ごめんなさい。ダンに連絡したかったんだけど、唯花ちゃんが離してくれなくて。って、言い訳になっちゃうけど」

「それと、一輝な。一輝は本当にユズのこと好きでも何でもないから。ユズは変な誤解するなよ。あいつはユズのこと何とも思っていない。分かったか」

「ふふっ、変なダン。そんなこと分かってるよ。なんか私たち、本当のカレカノみたい」

「ばか。それも誤解するなよ。俺たちは・・・」

「分かってるってば」

ダンと本当にお付き合いしているんじゃないかって時々錯覚する。

ダンが私のことを心配してくれたり、さっきみたいに走って探しに来てくれたり、一輝先輩にやきもち妬いているようなことを言ったりするから。


でも誤解しちゃだめだよってダンが言う。


辛い恋に足を踏み入れちゃったのかな、私。
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