嘘カノでも幸せになれますか
「あー、ほんとムカつくな、ユズ」
「おーい、柚葉ちゃん」
ダンはそっぽを向いちゃうし、一輝先輩はまっすぐに私を見ている。
どうしよう、一輝先輩のことを話したいのに。
二人が私の目の前に来て足を止める。
「ユズ、話したいことってなに?」
「えっと、やっぱりなんでもない」
なんでもないって言いながら、ちらっと一輝先輩を見上げる。
「ゆっ、柚葉ちゃん!! その顔っ!! 反則だって」
そう言って顔を赤くする一輝先輩。
「一輝先輩、意味が分からないです」
「あーーー、バカ暖にはもったいない。やっぱり俺と付き合わない?」
いつもそんな冗談を言う一輝先輩に、なんて返事していいのか分からなくてダンに助けてもらいたいのに。
ダンの顔が怖い。
ああ、もういいや。一輝先輩にハッキリ言おう。自分で何とかしなきゃ。