【短編】君のすべて

「おい!!!

その手を離せ!!」



「誰だよ、おまえ」



「あぁ"?!

おまえこそ誰だよ!!

こいつに触れていいと思ってんのか?ゴラァ」



たじろぐ相手が手を離す。



現れたその人の腕に手を回す。



『ごめんね♪

友達として会うのは楽しいけど

私が好きなのはこういうタイプなんだ』



ビクビクしながら私の隣を見つめる。



「もう二度と近づくんじゃねぇぞ?」



「すいませんっした~」



逃げるように駆け出す彼を見ながら

ついクスクス笑っちゃう。




「何笑ってんだよ?」




『別にぃ~!!

慎也~、今日もありがとう♪』



「花澄~!!

おまえもいい加減にしろよな」



『はいはい♪』



「ちっ!!!

いつか刺されても知らねぇからな」



『その前に慎也が助けてくれるでしょ?』



「知らねぇよ。

ったく…」



ブツブツ文句言いながら

説教する慎也を横目に

口笛を吹く。




何だかんだ言いながら助けてくれる。



慎也は……いわゆる男友達。



付き合いも長いし

私が裏切られた事も知ってる。



恋愛感情?!


そんなのはお互い全くない。


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