【新装版】BAD BOYS
「あははっ、それで『すみれがいちばんだよ』って言っちゃったわけ?
どうすんの、もしほんとに彼女ができたら」
けらけらと。
遠慮もなく大笑いするシイを、じろっと睨む。飛行機の席割は3人と2人で、俺らはどうやら素行不良2人組としてまとめられているらしい。
教師の前、じゃないだけマシだけど、そこそこ近いふたり席に一緒にされているというわけだ。
……まあ、隣がシイならべつにいいんだけど。
「……いいんじゃねえの。彼女できそうにねえし」
「できそうにないっていうか……
あの子じゃなきゃ嫌だって思ってるんでしょ?」
「………」
「椿さ、わかりやすいよね」
好きなのバレバレ、と。
口にされて、ふっと顔を背ける。それになんの効果もないことぐらい、もちろん十分理解してるけど。
「告れば?」
「フラれる確率200%なんだけど?」
検証しなくてもフラれるのが決定してるんだから、そんな気はない。
……いや、ほんとは、そんな勇気ないだけだけど。
「でもあの子、なんか、ノアさんの話すると"あからさま"だよね。
……ノアさんのこと、恋愛感情で好きじゃなさそう」
「いや、そう見えてほんとは好きなんだよ〜。
……って、ちょっと待て。はなびとお前が会ったの、俺と一緒にいたあの日だけだよな?」
「ん?
いやあ、この間ばったり会ってね、ファミレスで仲良くパフェ半分こしたよ?」