【新装版】BAD BOYS
そこまではっきりと言われれば、空気も多少は張り詰める。
「どうせ姉さんが動いたんだろうね」と。至って平然としているのはブラック側の3人だけだ。
「なんか……すげー、慣れてる感あるな」
「そう、だねー。
動揺してるぼくらの方がおかしいみたいな、」
手を組むことが決まって何度も話し合ってから、もう既にたまり場にはブラック側の人間も多く立ち入っている。
けれどその誰もが、シイたちと同じ雰囲気だった。
「実際に、慣れてるんだよ。
姉さんは俺らに隠れて動くのが当たり前。……むしろ話してなんかくれないよ?」
「それって、」
「人任せ、って? ……まさか。
俺らは姉さんのことを絶対的に信頼してる。だからそこに口を挟むのは、逆にルール違反。待ってればいいんだよ」
前に聞いたことだけど、ブラックはどうやら姉さん、を筆頭にする大人組がいて。
そこに通うメンバーは、絶対的に守ってもらえる庇護下にいる。それが『花舞ゆ』にはないんだとシイは言ってたけど、その通りだ。
「失敗したら、って思わないことはないけど。
姉さんは失敗するとわかってて自分で動いたりしないよ。あの人は凄いからね」
「そう言いながら、前に勝手に動いて怒られたのはマヤじゃなかったっけ」
「それについては結果的にいい方に転がったんだからよかったんだよ。
っていうかしづこそ、はなびに勝手に接触したことで怒られてたじゃん」
「……しづもマヤも、喧嘩するなら外でやれ」
「うっわミル機嫌悪……」
避難しとこ、と言ってこっち側に歩み寄ってくるシイ。
本当に機嫌が悪いらしく八王子もおとなしく口をつぐんで、一瞬静かになったタイミングで出ていったふたりが帰ってきた。